現在、ロシアからのLNG(液化天然ガス)輸入計画が目白押しです。
まず、東シベリアのチャヤンダ・ガス田と、温暖化で解氷した北極海航路を利用したヤマル半島ポワネンコフ・ガス田計画などです。
また、ロシアのパイプラインが極東のウラジオストクまで整備され今後の輸送ラインが確保されます。中国へのパイプラインよりも極東を優先したのは、ロシアが日本や韓国・アセアン諸国へのエネルギー輸出を狙っていることの表われです。
更に、4月29日に安倍総理大臣とロシアのプーチン大統領の首脳会談が行われ、領土問題を含めた日ロの関係改善が期待されます。
2016年頃にアメリカ産天然ガスを液化してLNG(液化天然ガス)として日本に輸出を開始する可能性は多いにあると思われます。既に日本企業が参加するアメリカでのシェールガス輸出プロジェクトが動き出しており、早ければ今春にも第一号案件(2016年輸出開始)が認可される見通しです。
また、カナダとの対日LNG(液化天然ガス)輸出プロジェクトも進められています。
カナダ西海岸からの輸送はアメリカ・ヒューストンなどのメキシコ湾岸からの輸送に比べると距離的に近い事がメリットで、コスト競争力は十分にあると言えます。
現在、カナダ政府の認可も取得して進められているのは、三菱商事がシェルと組んでカナダ西海岸のキティマットで進行中のプロジェクトで2019年の対日輸出開始を目指しています。
従って、数年以内にはLNG(液化天然ガス)や原油などの日本のエネルギーの供給先は、輸送距離的に近いロシアやコストの安いアメリカやカナダからが増えるのは確実です。
つまり、今後はそれらを見越した上での強かな中東諸国とのエネルギー戦略の立案が可能で、中東諸国へのエネルギー戦略のイニシアチブは我が国が握っていると言えます。