シェールガスの採掘によって地下水が汚染されることが懸念されていますが、一般的にシェールガス採掘の「水質汚染リスク」には、3つの汚染源が考えられます。
まず、1つ目は「水圧破砕」によって地下水が汚染されるという懸念で、2つ目は縦坑を掘る最初の段階でメタンガスが地中に漏れ出す懸念で、3つ目は「水圧破砕」の水を回収する際に汚染された水が地中に漏れ出す懸念です。
もともと、シェールガス掘削には欠かせない「水圧破砕」には、様々な化学物質や薬品を使用します。それらは効率よくシェールガスを回収するためのノウハウでもありますが、それらが地中に漏れ出すことで地下水の汚染が懸念されている訳です。
象徴的だったのが2010年に公開されたアメリカ・ドキュメンタリー映画「ガスランド」の1シーンです。家庭の台所の蛇口から出る水にマッチを近付けると水道水が燃え上がるのです。また、井戸などの汚染の報告も数多く寄せられています。
そこで、専門家の幾つかの見解によりますと「水圧破砕」犯人説に対しては、「水圧破砕」は地下2,000メートル以上の深部地下で行われるのに対して地下水脈は地下1,000メートル程度の深さです。従って「水圧破砕」によって地下水が汚染される可能性は低いということが言われています。そこで、考えられるのは縦坑を掘る最初の段階でメタンガスが地中に漏れ出す懸念と、「水圧破砕」の水を回収する際に汚染された水が地中に漏れ出す懸念です。もともと、メタンガスは地球上どこにでも有りますし、ゴミが地中に貯まるとメタンガスが発生します。
これらの汚染は開発当初の中小掘削業者のずさんな工事で、比較的、浅い部分でパイプの継ぎ目が緩い場合やコンクリートの固め方が不十分な場合に十分に考えられることです。
従って、シェールガス開発の地下水汚染対策としては、2つの具体的な方法が必要だと指摘されています。1つ目はシェールガス掘削の「水圧破砕」に使う化学物質の情報公開を掘削業者に義務付け、地中で自然分解する様な環境負荷の少ない化学物質の開発と採用です。
2つ目は「水圧破砕」の後に回収する排水の処理の方法を規制することです。開発業者に排水処理場の設置を義務付け、処理した水の再利用を義務付けるなどの方策が検討されています。
只、開発が先行しているアメリカに於いても、シェールガス開発推進派と環境保護派の激しい議論が続けられているのが現状と言えます。
従って、シェールガス開発を推進しているオバマ政権の、今後の舵取りが注目されます。