順調にいけば2016年頃にアメリカがLNG純輸出国になることを考えれば、2016年頃にアメリカ産天然ガスを液化してLNG(液化天然ガス)として日本に輸出を開始する可能性は多いにあると思われます。既に日本企業が参加するアメリカでのシェールガス輸出プロジェクトが動き出しており、早ければ今春にも第一号案件(2016年輸出開始)がアメリカ政府から認可される見通しです。
但、一般的に言われている程、事は単純ではありません。
まず、2016年頃にアメリカがLNG純輸出国になることが予想されていますが、アメリカは世界最大の天然ガス消費国でもありますから輸出量は限定的となる可能性があります。
つまり、日本が期待している程、量が確保できない可能性がある訳ですね。
もう1つはLNG(液化天然ガス)の価格の問題です。
最近の我が国のLNG(液化天然ガス)の輸入価格は、$17〜18/MMBtuとなっています。
一方、アメリカ天然ガス市場価格は$3/MMBtu程度ですから、我が国は5〜6倍の価格で輸入している訳です。従って、アメリカからLNG(液化天然ガス)を輸入すれば、$3/MMBtu程度の価格で輸入できるという報道があります。
しかし、LNG(液化天然ガス)の価格は、それ程単純ではありません。
アメリカのシェールガスを輸入するには、液化コストと輸送コストが掛かるからです。日本へはシェールガスを液化してタンカーで運ぶ以外に方法は無いからです。
従って、シェールガス由来のLNG(液化天然ガス)のコストは、$14〜15/MMBtu程度になると考えられています。つまり、現在、輸入しているLNG(液化天然ガス)の1/5の価格ではなくて20%〜30%程度の安さという程度でしょう。
只、アメリカのシェールガスを輸入することで、日本はLNG(液化天然ガス)の調達先の多様化を図ることができます。また、中東諸国やロシアに対する価格交渉のカードを得ることは大きな意義と言えます。
既に、シェールガスの産出地帯であるテキサス州メキシコ湾岸のヘインズビルとイーグルフォードと、ペンシルベニア州のマーセラス産出のシェールガスを日本に輸出するプロジェクトが着々と進んでいます。
まず、ヘインズビルに隣接するキャメロンでは、センプラ社が主導し三菱商事と三井物産
がプロジェクトを組んで2016年から年間400万トンの対日輸出を計画しています。
また、イーグルフォードに隣接するフリーポートでは、フリーポート社が主導し大阪ガスと中部電力がプロジェクトを組んで2017年から年間220万トンの対日輸出を計画しています。
更に、マーセラスに隣接するコーヴポイントでは、ドミニオン社が主導し住友商事と東京ガスがプロジェクトを組んで2017年から230万トンの対日輸出を計画しています。
只、日本はFTA(自由貿易協定)の未締結国ですからアメリカ政府の輸出許可が必要で、順調に進めば今年の4月か5月に第一号の認可が下りる見込みです。