シェールガスで潤う石油化学業界



シェールガスで潤う石油化学業界

LNGプラント

シェールガスはいくつかの過程を経てタンカーに積み込まれるシェールガスはいくつかの過程を経てタンカーに積み込まれる

掘削されたシェールガスはパイプラインを使って、まず、LNGプラントに送られます。ここで精製されたシェールガスの一部は、輸出用シェールガスとしてLNG輸出基地に送られてタンカーに積み込まれます。

LNG船の船主のトップ2は、日本郵船と商船三井LNG船の船主のトップ2は、日本郵船と商船三井

また、一部は石油化学工場に送られてエチレンになる訳です。この世界的なLNGプラントメーカーは日揮と千代田化工建設と東洋エンジニアリングです。更に、輸出用シェールガスを運ぶLNG船を建造するのは造船メーカーの三菱重工と川崎重工が代表的で、LNG船に使われるアルミ厚板は古河スカイと日本軽金属の製品が使われます。そして、LNG船の船主のトップ2は、日本郵船と商船三井です。

石油化学プラント

エチレンのコストは日本国内の1/20に下がっているエチレンのコストは日本国内の1/20に下がっている

一方、石油化学コンビナートに送られたシェールガスからは、エチレンを精製し各種フィルムや繊維・自動車部品・液晶パネル・プラスチック容器・水道管・床材などが作られます。現在、これらを作る日本の石油化学コンビナートが、アメリカのヒューストン近郊のメキシコ湾岸に進出し始めました。シェールガスの供給によって、エチレンのコストは日本国内の1/20に下がっているからです。

国内化学メーカートップが化学品プラントをアメリカに建設国内化学メーカートップが化学品プラントをアメリカに建設

その為、国内化学メーカートップの三菱ケミカルホールディングス傘下の三菱レイヨンは、アメリカ化学大手のダウ・ケミカルと組んでメタクリル酸メチルと呼ばれる化学品プラントをアメリカに建設することを発表しました。
また、クラレはボパールと呼ばれるエチレン系樹脂の新しいプラントを、ヒューストンに建設中です。
更に、既にヒューストン近郊のメキシコ湾岸に塩化ビニール樹脂の大型プラント工場を持つ信越化学やクラレも、シェールガス革命の恩恵を受けています。
また、荏原のシェールガスを原料に使うエチレンプラント向けのコンプレッサーや、シェールガスをLNG化する液化プロセスで使うコンプレッサーの引き合いも増えています。

米に進出した日本化学メーカーは革命の恩恵を受けられる米に進出した日本化学メーカーは革命の恩恵を受けられる

つまり、日本国内の石油化学プラントはコスト面で太刀打ちできなくなっていますが、アメリカに進出した日本の化学メーカーはシェールガス革命の恩恵を受けられる訳です。